オレオレ詐欺師からの電話に、延々と要領を得ない話をする「AIおばあちゃん」が開発される

AIおばあちゃん「デイジー」とは?

イギリスの通信大手O2が開発した「AIおばあちゃん」デイジーは、電話詐欺師を相手に最大40分もの長話を続けることで、その時間を無駄にさせるAIシステムです。詐欺電話が絶えない現代では、「おばあちゃんの雑談」がまさかの武器になっています。

どんな仕組みで詐欺師を引き留める?

デイジーは、音声をリアルタイムに文字起こしし、大規模言語モデルを使って返答を考え、合成音声で応答します。「孫の話を延々とする」など、いかにも高齢者がしそうなゆっくりとした会話で詐欺師を翻弄するのが特徴です。相手が焦れて何度も同じ説明をするうちに、実質的な勧誘や詐欺行為が行えなくなります。

ユーモアが生み出す防御力

普通ならすぐに怪しんで電話を切ってしまいそうですが、デイジーはあえて長引かせます。とりとめのない世間話や、編み物やペットの話題を差し挟むことで、詐欺師のペースを崩します。話に乗せられた詐欺師は徐々に疲弊し、次のターゲットにかける時間すら奪われるというわけです。

実際の効果は?

すでに1000件以上の詐欺電話に対応しており、被害の防止に一定の成果を上げています。さらに、会話ログを分析することで、詐欺の手口をより深く理解できるメリットもあります。組織的な詐欺師たちが使う最新のトリックを炙り出し、今後の対策に生かすことが期待されています。

これからの展望

電話詐欺は国や地域を問わず問題化しているため、デイジーのようなAIシステムが今後他国でも導入される可能性があります。詐欺師にとってはやっかいな存在ですが、被害者側にとっては心強い味方です。ユーモアを武器に、AIおばあちゃんが詐欺に立ち向かう姿は、テクノロジーの新たな可能性を感じさせます。